米国株式市場に投資する場合、日本からの有望な投資対象として、SPDR S&P 500 ETF(1557)とバンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI)があります。両者の違いには、連動指数が違う点や国内・海外ETFがある点などが挙げられます。
本記事では、両者のコストの違いに注目します。両者の売買手数料や信託報酬を比較し、購入金額や投資年数から、どちらのETFを選ぶのがお得か?を解説します。
目次
SPDR S&P500とバンガード・トータルストック・マーケットETFのおさらい
コスト比較をする前に、SPDR S&P500 ETF(1557)とバンガード・トータルストック・マーケットETFの特徴を再確認します。
購入手数料無料の国内フリーETF「SPDR S&P500 ETF(1557)」
SPDR S&P500 ETF(1557)の特徴は、信託報酬が年率0.0945%と格安ながら、カブドットコム証券なら売買手数料無料であるという点です。信託報酬は、国内ETFの中で最安水準です。またETFでありながら売買手数料無料のフリーETFですので、国内ファンドを利用して米国へ投資する場合、SPDR S&P500ETF(1557)を用いることが最も手数料が安い方法、お得な方法です。
SPDR S&P500 ETFの特徴まとめ:
参考 SPDR S&P500 ETFに関する詳細は、以下の記事をご参照ください。
http://investment-by-index-invest.com/etf-spdr-sp500/
破格の信託報酬バンガード・トータルストック・マーケットETF
米国へ投資する場合のもう1つの有力なETFとして、バンガード・トータルストック・マーケットETFがあります。バンガード・トータルストック・マーケットETF最大の特徴は、破格の信託報酬です。なんと年率0.05%です。
バンガード・トータルストック・マーケットETFの特徴:
- ベンチマーク:CRSP USトータルマーケット・インデックス(米国株式市場のほぼ100%をカバー)
- 売買手数料:証券会社毎(売買手数料・為替手数料ともにSBI証券が最安)
- 信託報酬:年率0.05%
参考 バンガード・トータル・ストック・マーケットETFの詳細は、以下をご参照ください。
http://investment-by-index-invest.com/etf-vanguard-total-stock-vti/
バンガード・トータルストック・マーケットETFは、海外ETFなので売買手数料が国内ETFと比べると割高だったり、外貨両替を行わなくてはいけない等の面がありますが、格安信託報酬は見逃せません。
参考 海外ETFが売買可能な日本の証券会社の手数料比較などは、以下をご参照ください。
結局どっちのETFがコスト的にお得なの?
上で述べたように、両ETFとも大変魅力的ですが、一体どちらのETFへの投資が売買手数料・信託報酬を考慮した上で、お得なのでしょうか?運用資金・運用期間別に両者のコストを比較します。
コスト比較をする際の前提条件
いずれのETFも、手数料が最安の証券会社で売買することを前提にします。つまり、SPRD S&P500ETF(1557)は、売買手数料無料のカブドットコム証券で売買すること、バンガード・トータル・ストック・マーケットETFは、売買手数料最安水準のSBI証券
参考 SBI証券の詳細は、以下の記事をご参照ください。
海外ETFを売買する場合、売買手数料と為替手数料の二種類がありますが、いずれの手数料もSBI証券が最安となっています。
⇒ SBI証券の詳細確認・無料口座開設は、コチラから行えます。
参考海外ETFのトータルコスト比較は、以下をご参照ください。
前提条件まとめ
- SPDR S&P500 ETF:カブドットコム証券で売買
売買手数料:無料
信託報酬:年率0.0945% - バンガード・トータル・ストック・マーケットETF:SBI証券
で売買
売買手数料:購入金額の0.45%(最小5ドル、最大20ドル)
為替手数料:1ドルあたり0.25円
信託報酬:0.05% - 為替レート:1ドル124円。(6/10現在、黒田日銀総裁の発言で122円後半まで下落中。)
- 両ETFとも年率5%の投資パフォーマンスと仮定。(アグレッシブ?)
1万ドル(124万円)の運用の場合のコスト比較
以上の前提条件のもと、両ETFのコスト比較を行います。はじめに1万ドル(124万円相当)を運用する際のコスト比較の結果です。以下のグラフをご覧下さい。
グラフの横軸は運用期間、グラフの縦軸が売買手数料および信託報酬の合計です。(信託報酬は年単位で計算しています。また、売買手数料は売却時も加味しております。売却時の為替レートも現在のレートを仮定。)
上のグラフを見るとわかるように、1万ドルの資金を運用し、長期期間(13年以上)保有する場合は、バンガード・トータル・ストック・マーケットETFを保有する方がお得となります。30年以上の長期保有となると、そのコスト差は歴然です。
1000ドル(12.4万円)の運用の場合
運用資金が小額の場合(1000ドルの場合)の結果を以下のグラフに示します。20年以上の長期保有の場合、バンガード・トータル・ストック・マーケットETFを保有する方がお得のようです。ちなみに500ドルの運用の場合も27年以上保有する場合は、バンガード・トータル・ストック・マーケットETFがコスト面でお得となるようです。
これらの結果から、長期の資産形成を目的とし、ETFを長期間保有する場合は、バンガード・トータル・ストック・マーケットETFがよりコスト面でお得ということがわかります。そのお得さは、運用金額が大きければ大きい程、強いものとなります。(*本結果はインデックスのパフォーマンスの違いや為替レートの変化などで多少なりとも変わります。)
ベンチマークの違いや国内・海外ETFの違いなども考慮して選ぶ
コスト面を考えると、長期保有(数十年以上)の場合、バンガード・トータル・ストック・マーケットETFを選ぶ方が良いことがわかりました。しかし、ETFを選ぶ場合、以下のテーブルで示すように、連動指数(ベンチマーク)やETFの種類、売買の利便性の違いなどもあります。
銘柄 | ベンチマーク | 種類 | 購入金額 |
---|---|---|---|
SPDR S&P500(1557) | S&P500 | 国内ETF | フリーETFなので、小額から購入できる。 |
バンガード・トータル・ストック・マーケットETF | CRSP USトータル・マーケット・インデックス | 海外ETF | 為替・売買手数料がかかるので、一度に大きな資金を売買すべき。 |
コスト面と以上のポイントも考慮して、ETFを選択しましょう。例えば、バンガード・トータル・ストック・マーケットETFの方がコスト面で魅力的ですが、為替・売買手数料があるため、一度に大きな資金を売買すべきです。また為替両替も入ってきます。
一方、SPDR S&P500 ETFは、フリーETFのため小額から投資が可能です、また国内ETFのため、為替両替も必要ありません。
本記事で紹介されたETFのおすすめ証券会社
SPDR S&P500 ETF(1557)を購入する場合、カブドットコム証券を迷わず選ぶべきです。本ETFを売買手数料無料で取引できるのは、日本では唯一カブドットコム証券だけです。
参考 カブドットコム証券の詳細は、以下の記事もご参照ください。
一方、バンガード・トータル・ストック・マーケットETFの売買は、SBI証券が良いでしょう。取引がかかる手数料が最も安く、海外株式を特定口座でも扱うことができます。
SBI証券・カブドットコム証券の詳細確認、および無料口座開設は、以下の公式ページから行うことができます。ご興味のある方は、ぜひご覧下さい。
まとめ
- 米国市場へ投資する代表的なETFのコスト比較を行った。
- 長期(数十年以上)保有の場合、バンガード・トータル・ストック・マーケットETFがお得。
- 本結果は、一度の売買資金が多くなる程、顕著な結果となる。
→お得な取引は、一度に大きな資金でバンガード・トータル・ストック・マーケットETFを売買すること - バンガード・トータル・ストック・マーケットETFの売買は、マネックス証券がお得。
- SPDR S&P500 ETF(1557)の売買は、カブドットコム証券がお得。
本記事で紹介した、カブドットコム証券・SBI証券証券の詳細確認、および無料口座開設は、以下の公式ページから行うことができます。ご興味のある方は、是非ご覧下さい。
参考 現在行われている、お得な口座開設キャンペーンは、以下をご参照ください。
コメント
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興味深いお話をありがとうございます。非常にわかりやすいご説明でした。ちなみに、今回はVTIに対応するETFとしてSPDR S&P500を選択されていますが、これは低コストETFの比較という観点からでしょうか。カバー対象を考慮したら上場インデックスファンド世界株式(1554)あたりかなと思ったので。
いずれにしろ、勉強になりました。ありがとうございました。
いーちゃんさん、
本ブログを読んでいただき、またコメントまでくださりありがとうございます。また、返信が大変遅くなってしまい申し訳ございません。ブログ引っ越し作業等に手こずっていました。
質問の件ですが、今回の比較は、米国株式市場のみに投資する銘柄の比較を目的としました。上場インデックスファンド世界株式ですと、米国株式市場の他に日本を除く先進国・新興国の株式市場が含めることになると思います。
もちろん、米国株式市場には、他の先進国・新興国で活躍する企業がありますので、米国株式市場に100%投資する(VTIの)場合、世界全体の株式市場とかなり相関してると思いますので、上場インデックスファンド世界株式と比較するのも面白いと思います。
しかし、今回はシンプルに、米国株式市場に投資する場合、どの銘柄がコスト的にお得か?という点を調べることを目的としていたため、SPRD(1557)とVTIを比較させていただきました。
VTIとSPDR(1557)の米国株式市場のカバレッジの違いがありますが、カバレッジを気にしない、もしくは考えた末コストで決めようと思われ方の、選考基準になればと良いなぁ思い、本記事・結果を投稿させていただきました。
最後になりますが、いーちゃんさんのブログ内で、本記事を紹介していただき、ありがとうございました。また、何かありましたら、遠慮なくコメントや質問をくださると嬉しいです。
今後ともよろしくお願い致します。
インデックス投資で資産運用
S. Ryotaro
丁寧なお返事をありがとうございます。なるほど、やはりコスト比較なのですね。
SPRD(1557)は国内市場から海外に上場できるETFとしては、もっとも低コストのグループに入りますので、迷っている方には非常に参考になると思いました。
それにしても、緻密に調べていらっしゃって素晴らしい記事だと思います。
これからも、いろいろと勉強させてください。
いーちゃんさん、
再びご返信いただき、ありがとうございました。
はい、コスト比較を目的としておりました。
お褒めの言葉をいただき、ありがとうございます。
そういっていただけると、ブログ更新の励みになります。
ブログをリニューアルしましたが、今後も遊びに来ていただき、いろいろと議論できたらと思っております。
今後ともよろしくお願い致します。
S. Ryotaro
こんにちはS.Ryotaroさん、「もっとお金の話がしたい」を運営してますモッティーです。
実はですね、最近VTへ手動積み立て投資をしているんですが、売買手数料、為替手数料等々含めたトータルコストだとニッセイ外国株式インデックスファンドと大して変わらないんじゃないか。という疑問にぶちあたっております。
その辺りの試算を自分でしてみよう。。と思ったんですが、いかんせん数字に弱いもんで行き詰っております。。ちょうどいろいろ検索していた所にこの記事が目にとまり、わかりやすい試算内容に感服しているところです。
そこでなんですが、、、是非VTとニッセイ外国株式インデックスファンドのトータルコスト比較記事なんぞを書いて頂けないでしょうか??
SBI証券のNISA口座で運用につき購入手数料は無料(売却手数料はかかる)、為替手数料は住信SBIネット銀行経由で1ドルあたり9銭、毎月の積み立て額は2万円。
こんな条件で試算して頂けると大変助かるのですが・・・
いきなりのお願いですみません。
ご検討頂けると幸いです。