2015年6月より日本ではコーポレートガバナンス・コードが適用され、企業の自己資本比率(ROE)などが注目されるようになりました。それにより、今後高ROEの企業がますます増えることが期待されています。
本記事で紹介するJPX日経インデックス400(JPX400)は、日本企業の中から高ROEなど、高い利益水準の企業400社を対象にした株価指数です。このJPX400を理解することで、高利益水準の日本企業にインデックス投資ができます。
参考 JPX400をベンチマークとするファンドやETFは、以下をご参照ください。
http://investment-by-index-invest.com/jpx400-indexfunds-etf/
JPX400とは?
日本証券取引所グループ(JPX)によれば、JPX400(正式名称:JPX日経インデックス400)は、以下のような投資を目的とした株価指数(インデックス)です。
資本の効率的活用や投資者を意識した経営観点など、グローバルな投資基準に求められる諸要件を満たした、「投資者にとって投資魅力の高い会社」で構成される新しい株価指数。
日本取引所ホームページより抜粋
具体的には、JPX400という指標は、株主資本利益率(ROE)という財務指標などを利用したスマートベータです。スマートベータとは、インデックス運用でありながら、市場平均(ベータ)に打ち勝つ目的で設定されている指標で、財務指標や株価の連動率などをベースに計算される指数です。
後述の銘柄選定法により選ばれた400銘柄を、浮動株調整時価総額加重平均(TOPIX型)した株価指数です。
参考 TOPIX(東証株価指数)の特徴、算出方法、構成比などは、以下をご参照ください。
http://investment-by-index-invest.com/topix/
株主資本利益率(ROE)とは?
JPX400の銘柄選定で重要となる指標「ROE」について解説します。
ROEとは、株主資本あたりの企業の収益性を測る指標で、以下のように定義されます。
つまり、ROEは我々投資家の投資額(株主資本)が、いかに効率よく企業の収益につながっているかを表す指標となります。ROEが高ければ、株主資本を効率よく企業が利益につなげているということになります。
参考 ROEやその他財務指標の詳細は、以下をご参照ください。
http://investment-by-index-invest.com/summary-of-financial-indicators/
JPX400の採用銘柄選定方法
次に、JPX400の採用銘柄選定基準を解説します。どのような選定方法を経て、400銘柄を採用するのでしょうか?
JPX400銘柄選定の流れ
JPX400の銘柄選定は、以下の図に示すような流れで行われます。東証に上場している全銘柄(約3,500銘柄)から、適正基準や流動性基準のスクリーニング、定性・定量分析によるスコアリングにより、400銘柄を選定します。
以下、スクリーニング・スコアリングの詳細を解説します。
JPX400の銘柄選定1「スクリーニング」
はじめに、東証上場の全ての銘柄(東証1部、東証2部、マザーズ、JASDAQ)から、スクリーニングにより1000銘柄を選びます。スクリーニングは、以下の適格基準と市場流動性指標を用います。
適正基準
JPXによれば、以下のいずれかに該当する場合、選定銘柄から除外するようです。このスクリーニングにより、債務超過企業は、JPX400の候補から外れることになります。
適正基準によるスクリーニング
- 上場後3年未満(テクニカル上場を除く)
- 過去3期いずれかの期で債務超過
- 過去3期すべての期で営業赤字
- 過去3期すべての期で最終赤字
- 整理銘柄等に該当
日本取引所ホームページより抜粋
市場流動性指標
次に、適正基準によるスクリーニングに残った全銘柄の中から、売買代金や時価総額を勘案し、上位1000銘柄を選定します。
市場流動性指標によるスクリーニング
- 直近3年間の売買代金
- 選定基準日時点における時価総額
日本取引所ホームページより抜粋
JPX400の銘柄選定2「スコアリング」
スクリーニング後に残った1,000銘柄をスコアリングし、上位400銘柄をJPX400に採用します。スコアリングは、以下のように、定量的・定性的な要素から行います。
定量的な指標によるスコアリング
ROE、累積営業利益、時価総額の3つの指標を用いて、以下のようにスコアリングします。株主資本あたりの利益が高い企業など、株主にとって魅力的な企業が、ハイスコアになります。
以下の各3項目にかかる順位に応じたスコアを付与します(1位:1000点~1000位:1点)。その後、各3項目のウェイトを加味した合計点によって総合スコア付けを行います。(ROEと営業利益はスコア付けに際しての取扱いあり)
- 3年平均ROE:40%
- 3年累積営業利益:40%
- 選定基準日時点における時価総額:20%
日本取引所ホームページより抜粋
定性的な要素による加点
定量的なスコアリング後、コーポレートガバナンスなどの定性評価により、加点を加えます。ただし、定量的な分析結果を尊重するため、定量評価のみによって選定された銘柄との違いが、最大でも10銘柄程度になるような規模の加点にとどめています。
定性的な要素による加点
- 独立した社外取締役の選任(2人以上)
- IFRS採用(ピュアIFRSを想定)または採用を決定。
- 決算情報英文資料のTDnet(英文資料配信サービス)を通じた開示
日本取引所ホームページより抜粋
二つのスコアリング後、上位400銘柄が、JPX400の採用銘柄となります。
バファー・ルール
上記のスコアリングにより決まる400銘柄ですが、バッファー・ルールにより前年度の採用銘柄が優先される仕組みとなっています。具体的には、前年度の採用銘柄は、スコアリング440位以内であれば、自動的に今年もJPX400に採用されます。
JPX400の採用銘柄入れ替え時期
JPX400は、年1回銘柄入れ替えを行います。8月の第5営業日(2015年は8月7日)に銘柄が発表され、8月末に実施となります。本記事で紹介したように、銘柄選定方法がはっきりしているため、各証券会社の採用銘柄予想の的中率は高水準となっています。
インデックス採用銘柄へ投資するイベント投資(コバンザメ投資)などの戦略も可能ですが、的中率が極めて高いため微妙かもしれません。
参考 イベント投資に関しては、以下をご参照ください。
http://investment-by-index-invest.com/event-investment-priciple/
2015年JPX400の採用銘柄入れ替えの予想
以下は、日経新聞で公開された、大和証券の2015年JPX400予想入替銘柄です。
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JPX400をベンチマークとする投信とETF
最後にJPX400をベンチマークとするインデックスファンドおよびETFを紹介します。これらの商品を購入・保有することで、JPX400採用銘柄を丸ごと買い、指数の値動きと同等の投資結果を得ることができます。
アクティブファンドがインデックスファンド・ETFに勝つ確率は3割程度です。そのため低コストでインデックスファンドまたはETFに投資する方法が、個人投資家には合理的な方法です。積極的にインデックスファンド・ETFを活用しましょう。
参考 指数に連動した投資(インデックス投資)の詳細は、以下をご参照ください。
http://investment-by-index-invest.com/school-of-index-investor/
JPX400をベンチマークとするETF
下表は、JPX400をベンチマークとするETFの比較表です。ETFの場合、出来高がそれなりにないと実際のファンドの基準価値と市場で売買される価格に乖離が生じてしまうため、出来高の大きさも重要です。
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JPX400をベンチマークとするオススメETFは、MAXIS JPX日経インデックス400上場投信(1593)です。信託報酬が最安(年率:0.078%)でありながら、なんとカブドットコム証券で売買手数料無料(フリーETF)で取引できます。初期費用・保有費用が最安の最強ETFです。
参考 MAXIS JPX日経インデックス400上場投信(1593)の詳細は、以下をご参照ください。
http://investment-by-index-invest.com/maxis-jpx400-free-etf-1593/
コストを抑えたオススメ購入先
MAXIS JPX日経インデックス400上場投信(1593)のおすすめ購入先は、カブドットコム証券です。SBI証券、マネックス証券、楽天証券などのネット証券でも売買可能ですが、売買手数料無料となるのはカブドットコム証券のみです。売買手数料が無料なので、小口で積立も可能です。
カブドットコム証券の詳細確認・無料口座開設は、以下の公式ページから行えます。
ご興味をもたれた方は、ぜひご覧になってみてください。
⇒ カブドットコム証券
また、本ブログでのカブドットコム証券の評価は、以下の記事をご参照ください。
http://investment-by-index-invest.com/kabucom-merit-demerit/
参考 その他国内ETFの購入先選びは、以下をご参照ください。
http://investment-by-index-invest.com/recommended-securities-for-kokunai-etf/
JPX400をベンチマークとするインデックスファンド
下表は、JPX400をベンチマークとするインデックスファンドの比較表です。
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コストが最も安いのは、ニッセイJPX日経400インデックスファンドです。しかし、ファンド設定から1年も経っていないので、今後のファンドパフォーマンスをよく確認する必要があります。ニッセイJPX日経400インデックスファンドを除くとSMT JPX日経インデックス400・オープンが最安コストとなります。パフォーマンスも悪くありません。
ファンドによってベンチマークから上方乖離しているものがありますが、これはファンドのパフォーマンスが良いのではなく、単にベンチマークに配当が含まれていないため起こる現象です。ファンドは、原資となる株式の配当が含まれます。
JPX400をベンチマークとするインデックスファンドの中で最もオススメするのは、ニッセイJPX日経400インデックスファンドです。まだ、設定からそれほど時間が経っていませんが、低コストニッセイインデックスファンドシリーズとして信頼や人気があります。
参考 ニッセイJPX日経400インデックスファンドの詳細は、以下をご参照ください。
http://investment-by-index-invest.com/nissay-jpx400-indexfund/
また、多くの投資クラスで最安コストを実現している、ニッセイインデックスファンドシリーズの商品一覧は、以下をご参照ください。
http://investment-by-index-invest.com/nissay-indexfunds/
ただし、ファンド設定からもう少しパフォーマンスを見てから判断したいという方は、コスト2番手でパフォーマンスも悪くないSMT JPX日経インデックス400・オープンが良いでしょう。
コストを抑えたオススメ購入先
コストは投資家の確実なマイナスリターンとなります。売買手数料が安い、またはポイント還元などでお得にファンドを保有できる証券会社を選び、コストをお抑え、投資パフォーマンスの向上を目指しましょう。
以上のインデックスファンドは、以下の大手ネット証券会社から購入可能ですが、利便性が良く、投資信託保有時のポイント還元率が最も高いSBI証券での保有が最もオススメです。
SBI証券の詳細確認・無料口座開設は、以下の公式ページから行えます。今なら口座開設キャンペーンで最大10万円がもらえます。(9月30日まで)
⇒ SBI証券
また、本記事でのSBI証券の開設・評価は、以下の記事をご参照ください。
http://investment-by-index-invest.com/sbi-merit-demerit/
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参照 SBI証券やその他証券会社のポイント還元の詳細は、以下の記事をご参照ください。
http://investment-by-index-invest.com/comparison-point-program-of-securities/
また、インデックスファンドのオススメ購入先で選んだ場合は、以下をご覧ください。
http://investment-by-index-invest.com/recommended-securities-company-for-index-funds/
JPX日経インデックス400のまとめ
- JPX400は、投資者にとって投資魅力の高い会社」で構成される新しい株価指数。
- スクリーニング・スコアリングにより高ROEの企業400社を選定。
- 年に一度、銘柄選定・入替が実施される。
- JPX400をベンチマークとする低コストETFがおすすめ。
参考 その他、日本株式市場の株価指数に関しては、以下をご参照ください。
http://investment-by-index-invest.com/stock-index-of-japan/
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