本記事では、アセットアロケーション(資産配分)を決める際に重要となる名目・実質GDPに関して開設します。
目次
「名目」と「実質」のちがい
各国の経済状況や将来像を知りたい場合、GDP、政策金利、そして物価上昇率などが重要になると思います。そしてそれらを実際調べて始めると、なにやら「実質」「名目」なるものが、頭についています。いったこれは何を意味するのでしょうか?
名目GDPと実質GDP
端的にいうと、名目GDPと実質GDPの違いは物価上昇を考慮するか否かの違いです。
名目GDPは物価上昇も含まれていますが、実質GDPは物価上昇を差し引いたGDP値になります。
まず基準年を昨年とします。昨年は基準年ですので、名目GDPと実質GDPは同じ値になります。100円のパンを2個、110円のジュースを3本生産した場合、昨年の名目、および実質GDPは530円となります。
次に、今年の名目、および実質GDPを算出してみます。名目GDPは単純に今年の物価と生産個数から、100円×2+120円×4 = 680円となります。一方、実質GDPは物価上昇を差し引くので、100×2+110円×4 = 640となります。実質GDP算出時には、昨年からのジュースの10円の値上がりは無視し、昨年(基準年)のジュースの価格を用います。
そしてここでもう一つ重要な定義があります。それはGDPデフレーターというものです。以下の式のように、名目GDPを実質GDPで割ったものがGDPデフレーターになります。
- GDPデフレーター = 名目GDP ÷ 実質GDP
GDPデフレーターが1以上であれば物価上昇(インフレーション)ということがわかります。また物価上昇率は以下のように定義します。
- 物価上昇率 [%] = ( GDPデフレーター – 1 )×100 [%]
上のパンとジュースの例ですと、GDPデフレーターが1.0625、物価上昇率が+6.25%であることがわかります。
名目金利と実質金利
金利に関しても考え方は同じです。政策金利が5%、物価上昇率が5%のA国と政策金利2%、物価上昇率0%の国を例にすると、名目金利、実質金利は以下のようになります。
上の図で示したように、実質金利は、名目金利から物価上昇率を差し引いたものです。
A国では金利が高いため、100万円を1年間貯金すれば、105万円になります。しかし、1年後物価も5%上昇しているため生活の質は変わりません。それに対してB国では、100万円を1年間貯金すると2万円しか増えません。しかし、物価は1年前と変わらないので、生活の質が向上したことになります。
このように政策金利と物価上昇率から実質金利を見積もることで、正しい経済状況がわかることになります。
GDP、金利、物価上昇率などは、投資判断を行うのに重要な指標となります。それらの定義、関係をしっかり理解、復習をしインデックスの中身の確認や味付けなどの際に考慮してみてください。
本記事のまとめ
- インデックス投資家であっても、投資先のインデックスの構成比などを調べることは重要。
- インデックス内の国別構成比などを見る際「GDP」「政策金利」「物価上昇率」などが重要な指標となる。
- GDPや政策金利は、「名目」「実質」の2種類があり、物価上昇率と密接な関係にある。
- 名目、実質の違いを理解し、正確なに指標を読み解くことが重要。
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