日本株式市場へ投資する我々(個別銘柄投資家・インデックス投資家に関わらず)にとって、日本の 株価指数 を理解することは重要です。指数を理解し、日々の動きを確認することで、日本株式市場の動向を感じ取ることができるからです。
インデックス投資家が株価指数を抑えておくことは当然重要ですが、個別銘柄の投資を行う方々にとっても市場環境を知る上で、株価指数の理解は重要となります。
本記事では、日本株式市場の株価指数を紹介し、それぞれの株価指数の算出方法・特徴・比較・連動するインデックスファンド & ETFなどを解説します。日本株価指数に関して辞書的に活用できるので、ブックマーク()をしておくと便利です。
目次
日経平均株価
日本株式クラスの株価指数の中で、歴史・認知度ともにあるのが、この「日経平均株価(日経225)」です。日経平均株価は、日本経済新聞社により算出される、東証一部約1700銘柄の株式のうち225銘柄から構成される 株価平均型 の株価指数(インデックス)です。
日経平均株価の算出方法と値動きの特徴
日経平均株価は、株価平均型と呼ばれる株価指数算出方法を用いています。株価平均型とは、単純に採用銘柄の株価を足し合わせて採用銘柄で割ったものです。つまり、採用銘柄の平均株価ということになります。
【例】A・B・C社、3つの株価を例に株価平均型の株価指数について解説します。
- A社:5,000円
- B社:2,000円
- C社:500円
この場合、株価平均型の指数は、「(A社の株価+B社の株価+C社の株価)/ 3」で表します。よって、3社の平均株価指数は、
(5,000 + 2,000 + 500)/3 = 2,500
となります。実際には「修正倍率」というものをかけて、指数の連続性を確保します。
算出方法の特徴により、日経平均株価は株価が大きい銘柄(ファーストリテイリングやソフトバンク)に左右されやすい性質があります。ちなみに、米国の代表的な株価指数ダウもこの計算方法を用いています。
以下は、日経平均株価の組入上位10銘柄です。実際に株価の高いファーストリテイリングやファナック、ソフトバンクの構成比が高くなっています。
銘柄名 | 構成比 |
---|---|
ファーストリテーリング | 9.1% |
ファナック | 4.4% |
ソフトバンク | 4.2% |
KDDI | 3.6% |
京セラ | 2.3% |
アステラス製薬 | 1.8% |
セコム | 1.7% |
ホンダ | 1.7% |
ダイキン工業 | 1.6% |
日東電工 | 1.6% |
日経平均株価の入れ替え時期
日経平均株価は、年に1度(10月)に組み入れ銘柄の変更が公表されます。後に紹介するJPX400指数の採用銘柄が、ある程度機械的に決まり銘柄の入れ替えが読みやすいのに対して、日経平均株価の入れ替えは予想が立てにくい特徴があります。
そのため、入れ替え公表時期にはイベント投資などで盛り上がります。
日経平均株価をベンチーマークとするファンド
以下の表は、日経平均株価をベンチマークとするインデックスファンドとETFのコスト比較です。ニッセイ日経225インデックスファンドがコスト的に最も優れていることがわかります。購入手数料無料のうえ、信託報酬は年率0.25%と格安です。
ファンド名 | ファンドの種類 | 売買手数料無料 | 信託報酬 [%] |
---|---|---|---|
ニッセイ日経225インデックスファンド | インデックスファンド | 無料 | 0.25 |
日経225ノーロードオープン | インデックスファンド | 無料 | 0.81 |
日経225連動型上場投資信託(1321) | ETF | 国内株式同様の手数料 | 0.24 |
SMAM日経225上場投信(1397) | ETF | 国内株式同様の手数料 | 0.14 |
MAXIS日経225上場投信(1346) | ETF | 国内株式同様の手数料 ただし、カブドットコム証券なら無料。 | 0.17 |
参考 インデックスファンドとETFのコスト・利便性の比較は、以下をご参照ください。
まとめ・参考資料
- 日経平均株価は株価平均型の株価指数。
- 株価の大きい大企業の株価に影響されやすい。
- 輸送用機器や電気機器など景気に敏感に反応する銘柄が多く含まれる。
- 日本株式市場の状況を敏感に察知するインデックス。
- 日経平均株価をベンチーマークとするファンドは、ニッセイ日経225インデックスファンドがおすすめ。
参考 日経平均株価の詳しい情報(特徴・業種別全組入銘柄・連動ファンドの比較など)は、以下のをご覧ください。
TOPIX(トピックス:東証株価指数)
日経平均株価に並び有名な日本株価指数が東証株価指数(TOPIX)です。TOPIX(トピックス)とは、東京証券取引所1部(東証一部)の全銘柄(約1,700銘柄)から構成される 浮動株基準株価指数です。
TOPIXの算出方法と値動きの特徴
TOPIXは浮動株基準株価指数です。浮動株とは、企業の全ての発行済株式数のうち、実際に株式市場で売買可能な株式のことです。つまり、浮動株基準株価指数とは、市場で売買されている株式から計算される時価総額加重平均型指数(*1)ということになります。
(*1)時価総額加重平均型指数とは、日経平均株価のように単に株価を足し合わせて平均化した指数ではなく、株式の時価総額の大きさでウェイトした株価指数です。つまり、一般に株価が大きい企業よりも株式時価総額が大きい企業の値動きが重要になります。
TOPIXの値動きの特徴は、日経平均株価と比べて以下の二点に違いがあります。
- 値動きが安定している(組入銘柄が約1,700と多いため)
- 株式時価総額の大きい企業の株価が影響する。
銘柄数が多いことや時価総額でウェイトして指数を算出していることから、TOPIXはバランスのとれた指数となっています。以下のグラフは、TOPIXの業種別構成比です。各業種バランスよく配分されています。
このようにみると、分散の観点から、日本株式市場へのインデックス投資は、日経平均株価よりはTOPIXがおすすめです。
参考 日経平均株価とTOPIXの違いの詳細は、以下をご参照ください。
TOPIXの入れ替え時期
決まった入れ替え時期はありません。ある銘柄が東証一部に上場した時点でTOPIXに組み込まれます。
TOPIXをベンチーマークとするファンド
TOPIXをベンチーマークとするETFおよびインデックスファンドを紹介します。これらのファンドを利用することで、日本株式市場の約1,700銘柄へ分散投資することができます。
以下、TOPIXをベンチーマークとするETFの比較です。信託報酬が0.078%と最安でカブドットコム証券で無料売買可能なMAXIS トピックス上場投信(1348)が最もおすすめです。
コード | 銘柄 | 信託報酬(年率) | 売買単位 | 最低購入金額 (2015年7月7日時点) | 出来高 |
---|---|---|---|---|---|
1348 | MAXIS トピックス上場投信(1348) | 0.078 % | 10株 | 16,790 円 | 121,460 |
1305 | 大和 上場TOPIX | 0.11 % | 10株 | 17,130円 | 205,480 |
1306 | 野村 TOPIX連動型上場投信 | 0.11 % | 10株 | 16,900円 | 3,798,520 |
1308 | 日興 上場TOPIX | 0.088 % | 100株 | 164,800 円 | 128,000 |
MAXIS トピックス上場投信(1348)を国内で唯一売買手数料無料で取り扱うことができるカブドットコム証券の詳細確認・無料口座開設は、以下の公式ページから行えます。
⇒ カブドットコム証券
参考 MAXIS トピックス上場投信(1348)の詳細は、以下をご参照ください。
http://investment-by-index-invest.com/maxis-topic-free-etf-1348/
利便性を考えてインデックスファンドが良い場合、信託報酬が最も安く、購入手数料無料のニッセイTOPIXインデックスファンドが最もおすすめです。
ファンド名 | 信託報酬 (実質コスト) | 配当取り扱い | インデックスとの差異 | 過去1年間のリターン (2015/9/30) | 純資産 [百万円] |
---|---|---|---|---|---|
ニッセイTOPIXインデックスファンド | 0.29% (初回決算待ち) | 配当込み | -0.1% | - | 1,799 |
日本株式インデックスe | 0.37% (0.38%) | 配当込み | -0.4% | 8.1% | 2,971 |
SMT TOPIXインデックス・オープン | 0.37% (0.37%) | 配当除く | +1.6% | 8.0% | 9,779 |
eMAXIS TOPIXインデックスファンド | 0.40% ( 0.41%) | 配当除く | +1.6% | 8.0% | 25,282 |
野村インデックスファンド・TOPIX | 0.40% (0.40%) | 配当除く | +1.6% | 8.0% | 1,650 |
インデックスファンドTOPIX(日本株式) | 0.62% (0.63%) | 配当除く | +1.3% | 7.7% | 13,473 |
参考 ニッセイTOPIXインデックスファンドの詳細は、以下をご参照ください。
http://investment-by-index-invest.com/nissay-topix-indexfund/
まとめ・参考資料
- TOPIXは、東証1部の全銘柄から構成される浮動株基準株価指数。
- 各業種バランスのとれた構成比で安定した値動き。
- 景気上昇局面では、日経平均株価より遅れて上昇する場合も。
- TOPIXをベンチーマークとするファンドでは「MAXIS トピックス上場投信(1348)」が最もおすすめ。
参考 TOPIXのさらなる詳細は、以下をご参照ください。
JPX日経インデックス400
近年、注目を集めている日本株式市場の株価指数に「JPX日経インデックス400」があります。コーポレートガバナンスやGPIFの運用にとり入れられたことから注目が集まっています。
JPX400という指標は、株主資本利益率(ROE)という財務指標などを利用した スマートベータ型指数 です。スマートベータとは、インデックス運用でありながら、市場平均(ベータ)に打ち勝つ目的で設定されている指標で、財務指標や株価の連動率などをベースに計算される指数です。
参考 ROEやその他財務指標に関しては、以下をご参照ください。
後述の銘柄選定法により選ばれた400銘柄を、浮動株調整時価総額加重平均(TOPIX型)した株価指数です。
JPX400の算出方法と値動きの特徴
JPX400の銘柄選定は、下図のような流れで行われます。
東証に上場している全銘柄(約3,500銘柄)から、適正基準や流動性基準のスクリーニング、定性・定量分析によるスコアリングにより、400銘柄を選定し、それらの銘柄で浮動株基準株価指数にします。
参考 各ステップの詳細は、こちらの記事をご参照ください。
⇒ JPX400銘柄選定の流れ
また、JPX400の値動きは、現在までのところTOPIXと似た値動きとなっています。
JPX400の入れ替え時期とその予想銘柄
JPX日経インデックス400は年1回銘柄入れ替えを行います。8月の第5営業日に銘柄が発表され、8月末に実施となります。本記事で紹介したように、銘柄選定方法がはっきりしているため、各証券会社の採用銘柄予想の的中率は高水準となっています。
参考 2015年の予想入替銘柄は、以下の表をご参照ください。
⇒ 2015年JPX400の採用銘柄入れ替えの予想
JPX日経インデックス400をベンチマークとするファンド
JPX400をベンチマークとするETFは以下の5つがあります。信託報酬が最安で、カブドットコム証券で売買手数料無料で取り扱っているMAXIS JPX日経インデックス400上場投信(1593)が最もおすすめです。
コード | 銘柄 | 売買単位 | 最低購入金額 (2015年7月6日時点) | 信託報酬(年率) | 出来高 |
---|---|---|---|---|---|
1364 | iシェアーズJPX日経400ETF | 1株 | 13,340 円 | 0.17 % | 545 |
1591 | NEXT FUNDS JPX日経インデックス400連動型上場投信 | 1株 | 14,760 円 | 0.20 % | 106,442 |
1592 | 上場インデックスファンドJPX 日経インデックス400 | 1株 | 1,334 円 | 0.10 % | 201,023 |
1593 | MAXISJPX日経インデックス400上場投信 | 1株 | 14,930 円 | 0.078 % | 27,840 |
1599 | ダイワ上場投信 JPX日経400 | 1株 | 14,880 円 | 0.18 % | 5,209 |
MAXIS JPX日経インデックス400上場投信(1593)を国内で唯一売買手数料無料で取り扱うことができるカブドットコム証券の詳細確認・無料口座開設は、以下の公式ページから行えます。
⇒ カブドットコム証券
参考 MAXIS JPX日経インデックス400上場投信(1593)の詳細は、以下をご参照ください。
http://investment-by-index-invest.com/maxis-jpx400-free-etf-1593/
以下は、JPX400をベンチマークとするインデックスファンドです。コストを考えるとやはり先に紹介したETF「MAXIS JPX日経インデックス400上場投信(1593)」がおすすめです。
ファンド名 | 運用会社 | 信託報酬(年率) |
---|---|---|
ニッセイJPX日経400インデックスファンド | ニッセイアセットマネジメント | 0.31 % |
eMAXIS JPX日経400インデックス | 三菱UFJ国際投信 | 0.40 % |
野村インデックスファンド・JPX日経400 | 野村アセットマネジメント | 0.40 % |
JPX日経400インデックスファンド | DIAMアセットマネジメント | 0.54 % |
インデックスファンドJPX日経400 | 日興アセットマネジメント | 0.55 % |
まとめ・参考資料
- JPX日経インデックス400は、高ROE銘柄などを機械的に選んだスマートベータ型の株価指数。
- 値動きはTOPIXに似ている。
- JPX400をベンチーマークとするファンドは、MAXIS JPX日経インデックス400上場投信(1593)がおすすめ。
参考JPX日経インデックス400の詳細は、以下をご参照ください。
MSCIジャパンインデックス
日本人投資家にはマイナーですが、外国人投資家が用い、また海外ETFの日本株式市場クラスとして使われる株価指数に「MSCIジャパンインデックス」があります。MSCIジャパンインデックスは、日本の約320企業の株式を時価総額比率で加重平均し指数化したものです。
MSCIジャパンインデックスの算出方法と値動きの特徴
MSCIジャパンインデックスは、時価総額・流動性の高い約320銘柄からなる浮動株基準株価指数(TOPIXと同じ方法)です。東証一部以外の銘柄が含まれていることが特徴です。
以下のグラフは、日経平均株価・TOPIX・MSCIジャパンインデックスの値動きの比較です。MSCIジャパンインデックスは、TOPIXに似た値動きをすることがわかります。
MSCIジャパンインデックスをベンチーマークとするETF
MSCIジャパンインデックスをベンチーマークとする金融商品は、海外ETFの「iシェアーズMSCIジャパンETF(EWJ)」があります。
iシェアーズ MSCI ジャパン ETF(EWJ)の特徴:
- 売買手数料:証券会社による。(海外ETFおすすめ購入先参照。)
- 信託報酬(経費率):0.32%
- 売買単位:1株(2015年7月16日現在、1株あたり12.95ドル、約1,605円相当)
- 決算:年2回(6・12月)
- 償還日:無期限(設定日:1996年3月12日)
- 純資産総額:約1兆7,000億円
MSCIジャパンインデックスの値動きはTOPIXのそれとよく似ている点、またTOPIXをベンチーマークとするファンドの方がコスト安い点から、TOPIXをベンチーマークとするファンド、特にMAXIS トピックス上場投信(1348)ETFをおすすめします。
まとめ・参考資料
- MSCIジャパンは、海外投資家や海外ETFに使われる株価指数。
- 日本の約320銘柄(東証一部以外も含む)からなる浮動株基準株価指数。
- TOPIXのパフォーマンス(値動き)によく似ている。
- MSCIジャパンをベンチーマークとするETFは、iシェアーズ MSCI ジャパン ETF(EWJ)があるが、TOPIXをベンチーマークとするMAXIS トピックス上場投信(1348)ETFがよりおすすめ。
参考 MSCIジャパンインデックスの詳細は、以下をご参照ください。
参考 現在行われている、お得な口座開設キャンペーンは、以下をご参照ください。