近年コモディティを投資先としたファンドが増えており、我々個人投資家にも、簡単に、コモディティ投資ができる環境が整ってきました。そのため、コモディティファンドへの投資を、資産の分散やインフレのヘッジとして活用しようと考えている方も多いでしょう。
本記事では、コモディティファンドに投資する前に知っておくべき5つのことを紹介します。
目次
コモディティファンドの特徴
はじめに、コモディティファンド特徴・性質を以下に5点紹介します。
その1:コモディティ価格は需給で決まる
コモディティの特徴の1つは、保有しているだけでは価値を生み出さないという点です。株式・債券は保有中に配当やクーポンなどのインカムゲインが生じます。しかし、コモディティにはそういった類いのものはありません。
コモディティは、需給によってその価格が決まります。例えば、小麦が不足しているときにみんなが小麦を欲しがれば、小麦の価格はあがりますし、逆に小麦が市場にあまり気味であれば、小麦価格は下落します。つまり、コモディティ投資で利益を出すためには、価格が安いときに買い、高いときに売らなければいけません。
そのため、コモディティ投資は短中期の需給状況を予測し、機動的に売買するには良いですが、長期投資により複利効果で資産を形成するような運用スタイルには向きません。
その2:コストが高い
国内外の株式・債券インデックスファンドであれば、ネット証券で、購入手数料無料かつ信託報酬0.5%台前後(日本・先進国株式はもっと安い場合がある)で購入・保有できます。しかし、コモディティファンドは、必ずしも購入手数料無料ではありません。また信託報酬も1%超が半数を占めます。また実質コストも信託報酬以外に別途発生する場合が多く、コスト高になりがちです。
コスト高は、投資パフォーマンスの低下および資産形成の妨げになります。
コストが投資パフォーマンスを低下させる例は、以下の記事をご参照ください。
その3:原理的に指数自体に連動させることができない
コモディティの投資対象が先物であることにより、コモディティファンドでは、 原理的に指数自体に連動させることができません。
コモディティ指数は原資産(原油・とうもろこし・豚肉等指数等のそれぞれの期近の価格から算出されます。原理的に、期近より期先の方が価格が高いことが多いそうです。そのため、先物の乗り換え時に価格差による損失が出ます。この指数との下方乖離の影響で、長期保有した場合、上述の信託報酬等の高コスト以外に、コモディティファンドのパフォーマンスが悪くなる可能性があります。
以下の記事に、詳しい仕組みが詳しく説明されています。
- コモディティ投信、ETFの問題点 その1(kenzさんのブログ記事)
その4:投資先が商品でなく、商品指数連動債の場合が多い
コモディティファンドの投資対象は、商品(先物)そのものではなく、企業の商品指数連動債になっていることがあります。そのため、金融危機などでコモディティ価格が上昇したとしても、企業の信用も悪化して商品指数連動債の流動性がなくなってしまうこともあります。
kenzさんによれば、リーマンショック時以下のようなことがあったそうです。
コモディティファンドをお勧めできない4つの理由より引用。
パインブリッジ・コモディティファンドは、リーマンショック時は、AIG発行の商品指数連動債に投資していて、AIG自体が倒れたため、リーマンショックの最中にファンドの売買停止になり大混乱になったことは記憶に新しいところです。
その5:為替リスクもある
コモディティファンドはドル建て(世界のコモディティ売買も基本ドル建決算)です。つまり、コモディティファンドに投資する場合、コモディティ価格と為替の二つの変動リスクをとることになります。
コモディティ投資の価格が上昇するようなケース(金融危機で金の価値が上昇など)の場合、為替相場は円高に振れることが多くあります。そのため、リスクヘッジのためにコモディティを保有していても、為替の変動により結局ヘッジできない場合があります。そのため、リスクヘッジや資産分散のためにコモディティ投資を行う場合、為替リスクも忘れずに鑑みましょう。
どのような人がコモディティ投資を活用するべきか?
以上の5つの観点から、コモディティを用いた投資はバイ&ホールドなど長期で資産形成を目指す運用法には向きません。分散やリスクヘッジの効果にも疑問が残る部分が多々あります。そのため、短期で需給等を読み機動的に売買することで、投資リターンを上げようという方が、コモディティ投資をするのがよいでしょう。
コモディティ投資をしたい方へ(投資対象)
ここでは、コモディティに投資する場合の候補を2つ挙げます。1つは購入手数料無料のコモディティインデックスファンド、もう1つはネット証券での貴金属の積立です。
コモディティインデックスファンド「eMAXISプラス・コモディティインデックス」
コモディティファンドの中から2015年6月18日に新設される、購入手数料無料のインデックスファンド「eMAXISプラス・コモディティインデックス」を紹介します。
eMAXISプラス・コモディティインデックスは、世界の商品市況の総合的な動きを表すインデックス「ブルーバーク商品指数トータルリターン」をベンチマークとするインデックスファンドです。購入手数料無料、信託手数料0.45%(実質コスト0.883%)とコモディティファンドの中では、比較的低コストです。マネックス証券およびSBI証券で取引を行うことができます。
eMAXISプラス・コモディティインデックスの詳細は、以下の記事をご参照ください。
http://investment-by-index-invest.com/fand-emaxis-commodity/
マネックス・SBI証券の詳細確認・無料口座開設は、以下の公式ページから行えます。ご興味をもたれた方は、ぜひご覧下さい。
楽天証券の貴金属(金・銀・プラチナ)積立
金、銀、プラチナの貴金属への投資は、ネット証券では唯一楽天証券から行うことができます。純金積立キャンペーンで1%楽天スーパーポイントがつきますが、購入手数料(売却手数料無料)に2.7%かかります。
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最後になりますが、(個人的な見解として)コモディティへの投資は本記事で取り上げた5つの事項を理解した上で、短期的な売買で利益を上げたい方のみ行うのが良いです。
コモディティファンド投資のまとめ
- コモディティは需給によってその価格が決まる。保有しているだけでは投資リターンは出ない。
- 株式や債券に投資するファンドよりも、購入・保有コストが高い。
- 商品設計上、連動指数から乖離することが多い。
- 投資先が商品ではなく、商品指数連動社債になっていることも。
- コモディティ商品は基本的にドル建て決算なので、コモディティファンドには為替リスクも含まれる。
- コモディティ投資は、バイ&ホールドの長期投資には向かない。
- コモディティファンドの性質を理解した上で、短期売買で利益を上げられる方は、投資対象として良い。
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