今月末に債務支払い期限を迎えるギリシャ、いよいよデフォルト、そしてユーロ離脱の懸念が高まり始めました。ポジティブなニュース、ネガティブなニュース、日々それらのニュースに一喜一憂する状態が続いています。
そんな中、本記事では、ギリシャがデフォルトした際の投資への影響を、株価指数へのインパクトなどを解説致します。
目次
ギリシャの経済規模とEU離脱の波及効果
まずは、ギリシャ問題の背景を振り返ります。
経済規模が小さいため、世界経済への直接の影響は小さい
ギリシャ自体は経済規模はとても小さい国です。ギリシャのGDPは約1830億ユーロと、ドイツの自動車メーカーフォルクスワーゲン1社の売り上げ(2020億ユーロ:2014年度)よりも小さい規模です。そのため、ギリシャのデフォルトやユーロ離脱の世界経済への直接の影響は微々たるものです。
参考記事:ギリシャがデフォルトしたら、どうなるのか(東洋経済)
恐ろしいのは、ギリシャがEU離脱した際の他EU国への波及効果
ギリシャ破綻による世界経済への直接の影響は小さいはずなのに、なぜこれほどまでに世間を騒がせているのでしょうか?それは、ギリシャがデフォルト→EU離脱となった場合、EU離脱が他のEU国へ波及する可能性があるためです。
EUに加盟する国は独自の政策(特に金融)を取ることができません。そのため、債務状況の悪い南欧諸国や移民などの問題で国の財務状況などが逼迫されるイギリスなどでは、EUへの反発感情が高まっています。
今回、もしギリシャがユーロから離脱するようなことになれば、それらの国でもEU離脱の機運が高まり、ユーロ圏経済に大きな影響をもたらすことが懸念されます。そのため、経済規模の小さいギリシャの問題の間接的な影響が、世界経済のリスクとなっています。
参考 ギリシャ問題の他EU国および世界経済への影響は、以下をご参照ください。
また、イギリスとEUの関係・昨今の政治動向などについては、以下の記事をご参照ください。
ギリシャがデフォルトした際の投資への影響
ギリシャがデフォルトした場合の投資への影響を考えます。ここでは、ギリシャを含む指数の中でも、個人投資家もよく投資しているファンドやETFのベンチマークに対するインパクトを紹介します。
MSCI新興国株式指数への影響
MCSIは、ギリシャを新興国市場に分類しています。投資家に人気の高いeMAXIS新興国ファンドのベンチマークには、このMSCIエマージング・マーケット・インデックス(MSCI新興国株式指数)が採用されています。
MCSIエマージング・マーケット・インデックスのギリシャの組み入れ比率は、0.3%程度です。そのため、ギリシャのデフォルトにおけるMSCI新興国株式指数の直接の影響は、小さいと考えられます。
MCSIエマージング・マーケット・インデックスの構成国比などの詳細は、以下の記事をご参照ください。
http://investment-by-index-invest.com/index-msci-emerging/
MSCIはギリシャをスタンドアローン市場へ
MSCIでは、ギリシャをスタンドアローン市場へ格下げする可能性もあるそうです。
以下、ロイター通信より引用:
株価指数を提供する米モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル(MSCI)は19日、ギリシャが資本規制の導入などを実施することになれば、ギリシャを現在組み入れているエマージング・マーケット(新興国市場)指数から除外し、「スタンドアローン」市場指数に分類する可能性があることを明らかにした。
MSCI、ギリシャをスタンドアローン市場に分類へ 規制導入なら
スタンドアローン市場とは、先進国市場・新興国市場・フロンティア市場のいずれにも分類されない市場のことを指します。
FTSE先進国株式指数への影響
FTSEは、ギリシャを先進国市場に分類しています(てっきりFTSE新興国株式指数だと思ってました)。日本を除く先進国市場を投資対象とするFTSE Kaigaiでは、ギリシャを0.025%組み入れています。MSCIエマージング指数以上に、組み入れ比が小さくなっています。
FTSE指数で、ギリシャの格下げ(新興国市場、フロンティア市場またはスタンドアローン市場へ)があるかわかりませんが、今の所、直接の影響は極めて小さいと言えます。
投資家が注意すべき点
このように指数へのインパクトを見ても、ギリシャ経済破綻の直接の影響は微々たるものです。むしろ、警戒すべきは、上述のようにEUへの波及効果により、通貨ユーロやEU・世界株価市場への波及効果です。投資家はこれらに備えて、自分のリスク許容度の確認や資産配分(アセットアロケーション)の確認が重要となります。
本記事のまとめ
- ギリシャの債務不履行、およびユーロ離脱懸念が高まっている。
- ギリシャの自体の経済規模は小さいが、南欧やイギリスのユーロ離脱など、ユーロ問題に発展しかねない
- MCSI新興国指数への影響は、0.5%以下。スタンドアローン市場へ分類も検討。
- FTSE新興国指数への
- リスク管理と分散など落ち着いた対応が重要。
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