現在、MSCIエマージング指数に中国A株が組み入れる準備が進んでいます。MSCIエマージング指数は、新興国株式へ投資を目的とするインデックスとして、たくさんのインデックスファンドやETFに採用されています。
本記事では、中国A株がMSCIエマージング指数に組み入れられた場合の影響を解説いたします。中国A株、MSCIエマージング指数の簡単な復習と今後の方針などもご説明いたします。
目次
MSCIエマージング指数と中国A株のおさらい
ここでは、MSCIエマージング指数と中国A株のおさらいをします。
(すでにご存知の方は読み飛ばしてください。)
MSCIエマージング指数とは?
MSCIエマージング指数(正式名称:MSCI エマージング・マーケット・インデックス)は、新興国株式市場に投資を行うことを目的とした指数(インデックス)です。欧州・アジア・南米・アフリカ・中東の新興国、23カ国から構成されます。
米国のMSCI Inc.が開発したインデックスで、世界の新興国株式の投資収益を、各市場の時価総額比率で加重平均し、指数化したインデックスです。
MSCIエマージング・マーケット・インデックスの詳細は、以下をご参照ください。
http://investment-by-index-invest.com/index-msci-emerging/
MSCIエマージング指数をベンチマークとするファンド・ETF
MSCIエマージング指数をベンチマークとして採用しているインデックスファンドは、eMAXIS新興国インデックスファンド(私も現在保有中)や野村インデックスファンド・新興国株式など、インデックス投資家に人気の低コストファンドがあります。
eMAXIS新興国インデックスファンドの詳細は、以下の記事をご参照ください。
http://investment-by-index-invest.com/fund-emaxis-emerging/
また、iシェアーズ MSCI エマージング・マーケットETFも新興国株式クラスのETFとして有名です。このように、MSCIエマージング指数は、新興国株式クラスの代表的な指数として、たくさんの金融商品のベンチマークとして採用されています。
中国A株とは?
中国A株とは、中国本土の証券取引所(上海・深セン)に上場している、中国個人投資家と一部の外国人投資家が取引することのできる中国株です。
中国本土で取引されている中国B株や香港証券取引所に上場している株式は、外国人投資家も売買することができますが、中国A株は一部の外国人投資家しか、取引ができません。
中国証券取引所と株式の区分についての詳細は、以下の記事をご参照ください。
今回のニュース
これまで、中国A株は、その特殊な株式区分により、指数に組み入れられることはありませんでした。しかし、今回MSCIエマージング指数への組み入れが検討されています。市場アクセスの問題などが解決すれば、MSCIエマージング指数に組み入れられることとなるようです。
bloombergのニュース記事:MSCI、中国本土株採用を先送り
中国A株は、その規模の大きさから、MSCIエマージング指数に組み入れられた場合、大きな影響を及ぼすと考えられます。次章では、組み入れの際の影響について解説いたします。
中国A株がMSCIエマージング指数に組み入れた場合の影響(インパクト)
MSCIエマージング指数の国別構成比に与える影響
ロイターによれば、中国A株組み入れの影響により、指数内における中国の構成比が、現在の25.3%から43.6%へと大きく跳ね上がることが予想されています。
逆に、他の新興国の組み入れ比率は大きく低下します。例えば、インドは現在の7%から5.2%へ、ブラジルは7.3%から5.5%へと低下することになるようです。
現在 | 組入後 | |
---|---|---|
中国 | 25.3% | 43.6% |
ブラジル | 7.3% | 5.5% |
インド | 7.0% | 5.2% |
ロシア | 3.9% | 3.0% |
新興国株式インデックスの組み入れ比率の半分を中国が占めることになれば、分散性が薄れます。これは分散投資という観点からもあまりうれしくはありません(MCSIコクサイの6割は米国株であるが)。
また、資産配分内の構成国をきちんと管理されている方は、大幅な調整が必要になるでしょう。例えば、MSCIエマージング指数に連動するファンドを持っていると、自動的に中国の比率が高くなるので、現状の国別資産配分を崩したくなければ、他の国の配分を、他の金融商品で上げなくてはいけない必要がでてきます。
MSCIエマージング指数のパフォーマンスへの影響
パフォーマンスへの影響はどうでしょう?
先ほどのロイターの記事によれば、MSCIエマージング指数は、2014年6月から2015年5月末までで2.6%下落したようです。しかし国別の内訳を見てみると、以下の表のように、中国のパフォーマンスが他の主要新興国株式市場のパフォーマンスを大きく上回っています。
リターン | |
---|---|
中国 | +32% |
ブラジル | -31% |
ロシア | -25% |
メキシコ | -11% |
指数全体 | -2.6% |
また、現在組み入れが検討されている中国A株となると、他の指数採用の22カ国全てを大幅にアウトパフォームしているようです。MSCIチャイナAインターナショナル・インデックスは同じ期間に128%上昇しているようです。
昨年1年を見れば中国株は、新興国株式を牽引したことになります。また中国A株も採用されていれば、さらなるパフォーマンスの向上につながりました。しかし、今後このような相場になるかどうかはわかりませし、中国株に加熱感もあるという見方もあるようです。
FTSEエマージング指数への移行を考えてみる?
新興国株式クラスのもう1つの代表的インデックスにFTSEエマージング・インデックスがあります。FTSEエマージング・インデックスも中国A株を組み入れるそうですが、こちらは中国A株は5.3%になるそうです。小型株も同時に組み入れることで、この程度の組み入れで済んでいるのでしょうか?
FTSEエマージング・インデックスの詳細やMSCIエマージング指数との比較は、以下をご参照ください。
http://investment-by-index-invest.com/index-ftse-emerging/
また、FTSEエマージング・インデックスが中国A株を組み入れるニュースは、以下をご参照ください。(Masayukiさん記事をお知らせいただきありがとうございました。)
私は、現在保有中のeMAXIS新興国ファンドをバンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETFへリレー投資後、EXE-i 新興国株式ファンドで積立を行おうと思っております。
バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF、EXE-i 新興国株式ファンドの詳細は以下をご参照ください。
http://investment-by-index-invest.com/etf-vanguard-emerging/
http://investment-by-index-invest.com/fund-exei-emerging/
本記事のまとめ
- 新興国株式インデックスのMSCIエマージング指数が、中国A株の組み入れを予定。
- 中国A株を組み入れた場合、MSCIエマージング指数の約46%が中国株となる。
- 分散性の観点やパフォーマンスの観点から疑問が残る。
- FTSEエマージング指数に移行するのも有効な手だてかもしれない。
参考 現在行われている、お得な口座開設キャンペーンは、以下をご参照ください。