マイナス金利の影響が、投資信託(ファンド)のコストにも影響が出てきているようです。日経新聞の記事やBloombergによれば、たわらノーロードシリーズの運用会社「DIAMアセットマネジメント」や三菱UFJ国際投信などが、マイナス金利に伴う負担を投信の基準価格に反映させているようです。も
本記事では、マイナス金利がファンドの運用コストに与える影響について解説します。マイナス金利の影響はどこまで大きいのでしょうか?
参考 マイナス金利時の資産運用法は、以下をご参照ください。
目次
マイナス金利の影響で投資信託の実質コストが上昇する?
日経新聞の記事によれば、マイナス金利の影響を投信に転嫁する運用会社が増えてきたようです。eMAXISシリーズで有名な三菱UFJ国際投信やたわらノーロードシリーズで御馴染みのDIAMアセットマネジメントなどがコスト転嫁を進めているようです。
マイナス金利が投資家に転嫁される原理
マイナス金利が投資家に転嫁される原理は、以下のようなイメージとなります。ファンドは、我々投資家から預かったお金を株式や債券などに投資しています。しかし、解約時の現金支払いなどに対応するため、現金をファンド内に数%程度保有しています。
それらの現金は、信託銀行を通じて、日銀の当座預金に預けています。その預け入れの一部(マイナス金利導入以降の追加分)にマイナス金利がかかっています。マイナス金利は、運用側からすればコストになりますので、今回そのコスト分を投資家へ転嫁するという流れになったようです。
以上のような仕組みでファンドの実質コストが上昇します。ポイントとしては、ファンド(またはマザーファンド)内の現金保有率です。そのため、以降、価格転嫁の報道があったDIAMアセットマネジメントのたわらノーロードシリーズの現金比率をチェックしてみます。
たわらノーロードシリーズには、どのくらい影響がありそうか?
マイナス金利の影響は、基本的に、ファンドの待機資金にのみ影響します。そのため、そもそも現金等の待機資金がファンド内に微量であれば、マイナス金利によるコスト増は軽微なものとなるはずです。
では、実際にファンド内の現金等の待機資金はどの程度あるのか?DIAMアセットマネジメントの運用する人気シリーズ「たわらノーロードシリーズ」で見てみます。下表は、たわらノーロードシリーズの各ファンドと現金等比率、信託報酬を表したものです。
ファンド名 | 現金等比率 | 信託報酬 |
---|---|---|
たわらノーロード日経225 | 9.1% | 0.195% |
たわらノーロード国内債券 | 0.3% | 0.150% |
たわらノーロード国内リート | 1.2% | 0.300% |
たわらノーロード先進国株式 | 2.0% | 0.225% |
たわらノーロード先進国債券 | 2.4% | 0.200% |
たわらノーロード先進国リート | 0.8% | 0.350% |
たわらノーロード新興国株式 | 3.3% | 0.495% |
*現金など比率は、2016年3月月次レポートから抜粋
たわらノーロードシリーズは、設定して間もないファンドが多いので、他インデックスファンドと比べて、現金保有率は高めになっています。一般的に、現金保有率が多いとベンチマークからの下方乖離が大きくなります。
さて、話をマイナス金利の影響に戻すと、ファンド内の現金等が最終的に日銀の当座預金へ預けられる場合、新たな預金分にマイナス金利0.1%が課せられます。そのため、原理的には、現金預金数%の一部に0.1%の実質手数料がかかるので、影響はかなり軽微に感じられます。
ただし、日経新聞の報道では、「基準価格1万円の投信の場合で0.2~0.5円程度」となっているため、0.02%〜0.05%の影響(?)が出るようです。もちろん、ファンドの現金比率やその待機・運用法によって、この影響は変わりそうです。
たわらノーロードシリーズ、ニッセイインデックスファンドシリーズ、また三井住友・DCインデックスファンドシリーズや新登場のステート・ストリートなどは、0.01%のレベルでコストを争っているので、この影響は無視できないかもしれません。いずれにせよ、運用会社に伺ってみたり、運用報告書をしっかりと見て行きたいと思います。
参考 たわらノーロードシリーズやファンドの特徴は、以下をご参照ください。
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