2015-2016年の世界経済において、最も注目されている出来事の一つに、アメリカの政策金利引き上げがあります。この利上げによって、為替・株式市場が大きく動く可能性があるため、多くの投資家が注目しています。
そして、この利上げの判断材料となるのが、毎月発表される米国雇用統計です。
本記事では、今回発表された米国雇用統計の結果とその影響、また今回注目されていたスタジオジブリのアノマリーという面白い現象についても紹介します。
参考 米国雇用統計とその影響に関しては、以下をご参照ください。
目次
米国雇用統計と2015年10月2日の結果
はじめに、米国雇用統計が注目される理由と今回10月2日発表された9月分の雇用統計の結果を解説します。
アメリカの雇用統計が注目される理由
アメリカは、リーマンショック以来、金融緩和を行い、経済・相場環境を改善してきました。最近の堅調な経済状況から、経済の加熱を防ぐために、金融引き締めに政策転換することが予想されており、2015年中に政策金利を引き上げる(利上げに踏み切る)ことが予想されています。
参考 米国政策金利に関しては、以下をご参照ください。
利上げが行われた場合、市場に供給されていたリスクマネーの巻き戻しが起こる可能性があります。リスクマネーの巻き戻しにより、株式市場などへ向いていた資金が引き上げられ、世界の株式市場が下落する可能性も考えられます。
また、日本株式市場にとっても、米国雇用統計は重要です。米国雇用統計の結果によっては、為替市場(円・ドル相場)が大きく動き、円・ドル相場に相関の高い日経平均株価やTOPIXが変動するためです。
米国雇用統計の結果
10月2日発表された雇用統計は、以下のように、市場予想と比べて悪い結果となりました。
- 非農業部門雇用者数:14万2000人増(市場予想:20万3000人)
- 7、8月の統計結果が下方修正
- 失業率5.1%
- 賃金伸び率:2.2%に低下
景気動向を敏感に移すとされる非農業部門雇用者数が市場予想を大きく下回りました。また、インフレ動向との関係で注目される賃金伸び率も2.2%と低下し、全体とし非常に悪い結果となりました。
この結果を受けて、雇用統計発表後は、米国利上げ先送り観測から、円・ドル相場で円高方向に大きく触れました。(最終的には1ドル119円後半まで戻しました。)
今回も炸裂した米国雇用統計におけるスタジオジブリのアノマリー
実は、今回の米国雇用統計で、もう一つ注目されていたことがあります。スタジオジブリのアノマリーです。米国雇用統計は毎月第一金曜日に発表されますが、この発表が金曜ロードショーのジブリ放映と重なると市場が混乱するというアノマリーです。
具体的には、雇用統計発表とジブリ放映の重複が起きた場合、雇用統計が事前予想よりも悪くなります。そして、指標の悪化を受けてドルが売られ、円高ドル安が進行し、株式も売られやすくなるという具合です。
過去のアノマリー結果と今回
ウォールストリートジャーナルによれば、2010年以降、雇用統計発表とジブリ放映の重複は10回あり、雇用統計が予想を下回ったのはそのうち9回となったそうです。なんとこのアノマリーが90%の確率で成立しています。
この間の統計発表は全部で44回で、そのうち予想を下回ったのは26回の約60%なので、やはり統計と放映の重複日には事前予想を下回る結果が出ることが、異常に高かったことがわかります。
そして、10月2日の夜は「ハウルの動く城」が放映され、見事アノマリー通りに米国雇用統計は市場予想を大きく下回りました。アノマリーなので、強い根拠があるわけではありませんが、なんとも強烈です。
参考 過去の米国雇用統計に関しては、以下をご参照ください。
参考 日欧・新興国の経済が停滞する中、強い経済を維持し利上げが予想される米国経済、米国株式市場への投資は、以下の2銘柄がオススメです。ご興味をもたれた方は、ご覧ください。
- バンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI):経費率0.05%
- SPDR S&P 500 ETF(1557):経費率0.0945%
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