2015年5月7日に行われたイギリス総選挙では、大方の予想を覆し、保守党が単独過半数を獲得しました。本記事では、イギリス総選挙で保守党が勝利した意味と今後の世界経済への影響を紹介するとともに、今後の投資方針を考えます。
目次
イギリス政党の基礎と現状
選挙結果の解説に入る前に、イギリスの政党と現状を復習します。
基本的にイギリスは2大政党(保守党・労働党)です。現政権は、キャメロン首相率いる保守党と自由民主党の連立政権(ハングパーラメント)です。現政権は、様々な経済政策により、リーマン危機から順調に経済を回復させてきた実績を評価されてます。その一方で、移民政策では結果を残していません。
前回のイギリス総選挙では、選挙の争点はリーマンショックからの経済の立て直しでした。しかし、順調な経済回復が実現していることから、今回の選挙の国民の関心毎は、「移民政策」「NHS(英国の保険制度)」となっており、移民政策で成果が上がっていない保守党政権には逆風が吹いていました。
また、スコットランドの独立選挙以来、スコットランド国民党(SNP)が大幅に躍進しています。SNPは保守党とは手を組まないことを表明しており、保守党は厳しい選挙が予想されていました。
予想に反して単独過半数を確保した保守党の勝利
大方の予想では、移民政策の失敗とSNPの対等から、保守党政権は苦しい情勢にありました。しかし、予想を覆し、保守党政権が単独過半数の票を獲得しました。
保守党勝利への市場の反応
保守党の勝利を市場は好感しました。リーマンショック後、イギリスの経済を回復させた主案を評価したようで、選挙後(5月8日)のイギリスの代表的な株価指数(インデックス)FTSE100は2.3%上昇しました。欧州各国の株価指数も2%台の大きな上昇を見せました。また、英国通貨ポンドも大幅上昇しました。
今後のシナリオと世界経済への影響
選挙直後は、経済政策を成功させてきた保守党の再任に、欧州株式市場は大幅上昇しました(他の要素もあるが、米国株式市場も上昇)。今後も、保守党再任の安堵感から、欧州株価は上昇する可能性があります。
今後のポイントとしては、以下の4点が上げられます。
- EU脱退の是非を問う国民選挙
- スコットランド国民党(SNP)との関係
- 移民政策の進展
- 国民健康サービス(NHS)
特に世界経済に影響を与える可能性が高いのは、上の二つです。
2017年にEU脱退の是非を問う国民投票が行われる予定
上にあげた3, 4とも共通する部分がありますが、EUとの関係が今後最大のポイントになります。EUとの貿易によりイギリスは大きな経済メリットを得ていますが、移民の増加により国民健康サービス(NHS)の財政赤字の拡大や労働賃金の上げどまりなどが問題となっています。
保守党は、選挙公約に「2017年にEU脱退の是非を問う国民投票」を上げました。保守党の狙いは、EU残留の条件として移民規制等の条件提示をEU側に求めることです。このEU脱退をちらつかせることで、EU側にイギリスに有利な条件を獲得し、EUを残留することが狙いです。
しかし、2017年の国民選挙は、偶発的なイギリスのEU脱退を招きかねないことも事実です。2017年まで、イギリスとEUの関係には、注視が必要です。
スコットランドの独立
今回の選挙で、スコットランド国民党(SNP)が大幅躍進(前回の6議席から56議席へ)したことで、SNPの議会での影響力は高まるでしょう。スコットランド独立の機運が高まる可能性があります。その場合、前回のスコットランド選挙前のように、ポンドやイギリスの株式市場は不安定になるかもしれません。
欧州市場への投資方法
ここでは、イギリスも含む欧州市場への低コスト分散投資(インデックス投資)の方法を紹介します。イギリス選挙を終えた安心感と欧州の金融緩和から、欧州株式市場は軒並み堅調に推移しています。以下、国内・海外低コストETFを紹介します。以下のETFを使うことで、欧州市場へ長期分散投資が可能となります。
イギリスのEU脱退やスコットランドの独立などの気運が高まれば、リスクオフにより株式市場は調整するかもしれません。そういった時に欧州市場にポジティブな予想を持っていれば、絶好の投資タイミングになるかもしれません。
UBS ETF 欧州株(銘柄コード1386)
- 国内ETF
- 経費率 0.2%
- 上場したばかりの国内ETFなので、配当利回り、純資産や出来高それに伴う乖離率などを見極めたい所。
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UBS ETF 欧州株(1386)の詳細は、以下の記事をご参照ください。
http://investment-by-index-invest.com/etf-msci-europe-ubs-1386/
iシェアーズ ヨーロッパ ETF
- 海外ETF。ニューヨーク証券取引所。
- 経費率 0.6%
- 決算は年2回(6、12月)。配当利回りは3.65%(2015年3月23日現在)。
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米国ETF購入の際の証券会社選びは、以下もご参照ください。
バンガード・FTSE・ヨーロッパETF
- 経費率0.12%(ヨーロッパ先進国株式連動ETFで最安)
- 決算日年4回(3、6、9、12月)
- 最低高入金額1万円以下(2015年1月現在)
- 純資産1兆円超
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http://investment-by-index-invest.com/vanguard-ftse-europe-etf-vgk/
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コメント
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初めまして。私はセゾン投信のグロバラ、ひふみ投信、ニッセイ先進国株式インディクスを積立で保有しています。また、フリーETFのSPDR S&P500の購入を考えているのですが、年4回配当もあり定期積立より高値ですが、一括購入がいいのかな?と思ったりしています。今後暴落する可能性もあると思うんですがアドバイスをお願いします。
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ムシアさん
お忙しい中、本ブログをご覧くださり、またご質問をいただきありがとうございます。読者の方からの声はブログ執筆の励みになりますし、読者の方からの質問を通して、自分の理解を深めたり、記事の分かりにくい部分を改訂できるため、大変うれしく思っております。
質問にお答えする前に、ムシアさんの質問内容に関して、2点確認したいことがあるのですが、よろしいでしょうか?
ご質問の中に「年4回配当もあり定期積立より高値ですが」という部分があります。ここで、定期積立とは、ニッセイ先進国株式インディクス等の毎月積立のことを指しているでしょうか?
また、その場合、定期積立より高値というのは、ファンドの基準価値をご比較になってのことでしょうか?もしくは、SPDRの国内ETFの乖離率の話をしていますでしょうか?
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ご返答ありがとうございます。わかりにくくてすみません。
SPDRを手動で一定口数買付した場合です。また、SPDRの株価が高値という意味です。
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ムシアさん
ご返答ありがとうございます。本質問、実は様々な前提知識が必要となるように思えますので、1つ1つ分解して答えていこうと思います。すでに知ってるという部分があったら、読み飛ばしてください。
(1)SPDR S&P500をムシアさんのポートフォリオに加える方針について
教えていただいた3つのファンドの比率はわかりませんが、ファンドから察するにグローバルな投資をベースとして、ムシアさんの好みに合わせて、先進国等の比重を高めているのだと思います。
そして、今回さらに、米国への投資の比重を高めるために、SPDR S&P500の買付を考えているのだと思います。
各ファンドの比率は私の方ではわかりませんが、米国の比率が高くならないようにお気をつけください(ニッセイ先進国株式インディクスにすでに約6割米国が含まれる)。一般に、1国に集中投資する場合、ポートフォリオ内の分散性が損なわれ、リスクを過剰にとってしまっているということになりかねません。
*参考:必要であれば、以下の記事をご参考にしてみてください。
・アセットアロケーション内のリスク計算などに関して
⇒ http://indexinv.blog.fc2.com/blog-entry-70.html
・ニッセイ先進国インデックスファンドのベンチマーク「MSCIコクサイ」について
⇒ http://indexinv.blog.fc2.com/blog-entry-126.html
(2)SPDR S&P500の選択に関して
リスクを高めてでも、米国の比率を上げたいということであれば、国内ETF SPDP S&P500は、良いと思います。国内ETFで為替などの煩わしさもありませんし、信託報酬も安価で、さらにカブコムでフリーETFですので。
参考:もし海外ETFに挑戦するということであれば、さらに低コストで分散性に優れた商品があるので、紹介しておきます。
バンガード・トータル・ストック・マーケットETFの詳細 ⇒
(3)分配金に関して
2点コメントです。
まず、前提としてETFは分配金を出すもの、インデックスファンドは分配金を出さないものという仮定があると思うのですが、これは必ずしもそうではありません。SMTシリーズなども分配金を出した過去があります。
また、ETFの分配金は、基本的にはETFの組み入れ銘柄の配当が元になっていますので、ファンド内の資産を取り崩して分配するようなたちの悪い分配金とは違います。(特に米国株式市場は高配当銘柄が多い)
これらの理由から、個人的な考えとして、分配金が出るからといってETFを敬遠することはないと思います。(分配金の再投資を自分でやらなくてはいけない手間はありますが。)
(4)ファンドの基準価値は比較するものではない。
ニッセイ先進国インデックスファンドの基準価値とSPDR S&P500の基準価値を比べていますか?
もしそうだとしたら、この二つの基準価値は、比較できないものです。なぜならファンド設定時に基準価値は決まります。
そのため、運用期間で、基準価値は全く違うものになります。
(5)米国ファンダメンタルズ
質問の内容から察するに、一括投資のタイミングも聞きたいのかもしれません。まず、最初に2点断わっておきます。プロでも未来の投資は難しいということ、また長期分散インデックス投資の良いところはこいったファンダメンタルズ分析が重要では無い点(長期でみれば、今考えている値の上下は非常に、些細なものかもしれません)
それを断ってあえて、私の考えを答えておくと、米国利上げまでは様子見かな?という見解です。
判断しかねる場合、フリーETFですし、ドルコス的に投資するのも良いかもしれません。
(投資判断は自己責任でお願いいたします。)
参考:米国の利上げに関しては、以下の記事を参考にしてみてください。
⇒http://indexinv.blog.fc2.com/blog-entry-109.html
まとめると、アセットアロケーション内の米国の比率が上がることによるリスクの高まりを分かった上で、米国へ投資するのであれば、問題ないと思います。
そこで、国内ETFとしては、フリーETF(カブコムのみ)かつ超低コストなSPDR S&P500のチョイスは良いと思います。
ただし、国内ETFは乖離率が気になるので、指値注文が良いでしょう。
返信が長くなってしまい、申し訳ありません。5項目書きましたが、全て既存の内容でしたら、申し訳ございません。
また本質問を私の記事で紹介してもよろしいでしょうか?
非常に示唆に富んだ質問となっておりますので。
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遅くなってすいません。大変参考になるアドバイスありがとうございます。記事にしてかまいません。
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いえいえ、ご連絡ありがとうございます。
少々長くなってしまいすいませんでした。
また、何かありましたら、記事へのコメント等、よろしくお願い致します。