先月25日、国家公務員共済組合連合会(KKR)の年金運用に関して、リスク資産を引き上げる発表がされました。(日本経済新聞ニュース)本日は、本ニュースに関する内容と今後の展望を行いたいと思います。
目次
国家公務員共済組合連合会(KKR)のリスク資産引き上げの具体的な内容
KKRとそののリスク資産引き上げの内容について紹介します。
国家公務員共済組合連合会(KKR)とは?
国家公務員共済組合連合会(KKR)は、国家公務員の年金資産を運用する機関です。中央官庁の国家公務員や日本郵政の社員、約100万人が加入しており、総運用資産額は、2014年3月末時点で、約7.6兆円です。
リスク資産引き上げの内容
今回発表された資産の変更は以下の通りです。
- 国内株式 8% ⇒ 25%
- 外国株式 8% ⇒ 25%
- 外国債券 2% ⇒ 15%
- 国内債券 74% ⇒ 35%
年金基金の統合に向けて、先にリスク資産の運用比率をあげた年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の目標保有資産に合わせる形となっています。
今回発表されたアセットアロケーション目標比率達成時期に関しての詳しい声明はありませんが、今後KKRの日本株式と海外資産の大幅な買入が確定的となりました。
KKRのリスク資産の引き上げによる今後の展望
以下、リスク資産の引き上げによる影響を展望します。
KKRに続き他の共済団体もリスク資産を引き上げる見通し
KKRの運用資産は7.6兆円です。GPIFの運用資産額137兆円と比べると、そこまで高くありません。しかし、KKRのリスク資産引き上げに続いて、地方公務員共済組合連合会(地方公務員の年金を運用)と日本私立学校振興・共済事業団(私立学校の教職員の年金運用)もリスク資産の比率をGPIFとKKRの比率に引き上げる見通しです。
KKR、地方公務員共済組合連合会と日本私立学校振興・共済事業団の運用資金は、計30兆円となります。
3共済のリスク資産引き上げによる影響
アセットクラス別に3共済のリスク資産引き上げの影響について考えてみましょう。仮に3共済がGPIFと同じ資産比率を目標とするならば、以下のような影響が考えられます。
- 日本株式:
推定5.1兆円の買い増し
⇒ 日本株式市場の下支え。 - 海外資産:
推定8.8兆円の買い増し
⇒ 海外資産への移転による円安効果。 - 国内債券
13.8兆円分減る可能性
⇒ 日銀の大量国債購入が続いているため、効果は限定的。
つまり、日本株高と円安要因になります。日本株高は、日経平均株価やTOPIXのインデックスの上昇などから我々インデックス投資家に恩恵をもたらします。また円安も、円ベースの海外保有資産の評価額を高めますので、投資家にとっては悪くない効果が期待できます。
日本国債の保有量は減りますが、日銀の金融政策による、国債の大量購入が継続されることにより効果は限定的でしょう。しかし、中期的に日銀の金融政策の転換を迎えるにあたり、影響を注視する必要があると思われます。
本記事のまとめ:
- 国家公務員共済組合連合会(KKR)のリスク資産比率の引き上げが決定された。
- KKRに続き他の共済団体もリスク資産比率を引き上げる見通し。
- リスク資産引き上げは、日本株高、円安の要因となり、投資家の資産評価額を引き上げる可能性がある。
- 国債の保有量は減るが、日銀の金融政策により、効果は限定的と見られる。
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