インデックス投資家育成塾シリーズ前回の記事では「長期分散」「低コスト」「管理のしやすさ」という観点から、インデックス運用の優位性について説明しました。
本記事では、インデックス運用の良い点を、もう1点紹介させていただきます。それは、プロの投資家の運用法でも、インデックス運用以上の成績をおさめるのは難しいということです。
目次
プロの投資家でも市場平均を上回るのは難しい
運用法には大きく分けて二つの運用方法があります。
「インデックス運用」と「アクティブ運用」です。
インデックス運用は、これまので記事で説明してきた通り、市場平均を狙う運用法です。それに対してアクティブ運用は、市場平均よりも高いリターンを目指す運用法です。
一般投資家が投資型資産運用を行う場合、自分で分散投資するのは大変なので、自分のやりたい運用法に合わせて、インデックス運用を行いたいのであればインデックスファンドを、アクティブ運用を行いたいのであればアクティブファンド選ぶことになります。(インデックス投資家を目指すのであれば、もちろんインデックスファンドです。)
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この説明だけを聞くと、インデックスファンドよりもアクティブファンドを選んだ方が、良いように感じます。しかし、以下の2点に理由により、我々一般投資家がアクティブファンドを選ぶことは合理的ではない。という結論がでます。
- プロの投資家でも市場平均を上回る運用成績を上げることは難しい。
- インデックスファンドの管理費と比べて、アクティブファンドの管理費は割高である。
理由1. インデックス運用はアクティブ運用に負けない!
ここに重要な事実があります。それは、アクティブファンドはインデックスファンドに、優位に勝つことができてきないという事実です。むしろアクティブファンドは劣勢です。
以下のグラフは、過去10年のアクティブファンド(アクティブ運用を行う投資ファンド)の運用リターンです。横軸が運用リターンで、縦軸はそのリターンのアクティブファンド本数になります。矢印で、日本株のインデックスであるTOPIXと日経平均株価の10年間のリターンを示しています。
(*)グラフは日経新聞電子版より
TOPIXのリターンを上回るアクティブファンドは全体の53%程度です。半分程度のアクティブファンドしかTOPIXのリターンを上回っていません。日経平均に対しては、アクティブファンドの23%しか、リターンを上回ることはできていません。
また、いくつかのアクティブファンドの運用成績がインデックスよりも良いですが、そのような好成績を出すアクティブファンドを前もって選ぶことはできません。もしできていれば、今頃全ての人がそのファンドを買ってしまい、みんな儲けてしまっているはずです。
また、他の国や地域でも、同じ結果が出ています。例えば、アメリカでは、1年間の運用成績では52%のアクティブファンドがインデックスを上回る成績をおさめますが、10年、20年と期間を長くすると、インデックスを上回る成績をおさめたアクティブファンドはなんと20%を切ります。
(*)詳細は海外投資データバンクさんの記事を参照
また、アクティブ運用がインデックスを上回ることができないということは、「市場が効率的」であることを過程すれば、理論的に導出できることでもあります。「市場が効率的」であるということは、情報が細部までスムーズに行き渡っているかどうかの度合いです。情報が効率的に行き届かない場合、例えば割安な株がたくさん放置されている等、情報のゆがみにより、成績の善し悪しが変わります。先進国は一般に市場は効率的であると言われています。
理由2. アクティブ運用にはコストがかかる
パフォーマンス以外に、一般投資家がアクティブファンドを使うことが合理的ではない根拠があります。それは「アクティブファンドはコストが割高」ということです。
一般にインデックスファンドの管理費(信託手数料)が1%以下であるのに対して、アクティブファンドは2%程度です。 前回の記事で述べたように割高なコストは、複利効果を圧迫し、運用パフォーマンスを低下させます。とくに長期間の運用では、そのコストの差が大きく影響します。
(*)自前のアクティブファンドを作れば、コスト面は心配ないのでは?という意見もあります。しかし、プロの投資家であってもアクティブ運用がインデックス運用に勝つことが難しいこと、また一般人が時間を使い、企業を調べ上げ、売買を行うこと(時間・コスト)を考えると、やはりアクティブ運用は合理的ではないと考えます。
本記事のまとめ
- インデックス運用とアクティブ運用の2種類がある。
- インデックス運用が市場平均を目指す運用法、アクティブ運用は平均を上回る成績を目指す運用法。
- 過去のデータでは、アクティブファンドがインデックスを下回る場合が多い。
- 一部のアクティブファンドはインデックスを下回るが、事前にそのようなファンドを選ぶことはできない。
- 市場が効率的である場合、数学的にインデックス運用の優位性が証明されている。
- アクティブ運用は、コストがかかるので、複利効果が少ない。
→「一般投資家がアクティブ運用を行うことは合理的ではない。」
このように、パフォーマンスの観点からも、一般投資家にとってインデックス運用を行うことがベストの運用法と思います。
インデックス投資家育成塾【理論編】のまとめ
- 個人投資家にとって最善の運用法は「インデックス運用」である。
- インデックス運用は、市場平均を目指す運用。
- インデックス運用は、「長期分散」「低コスト」「管理が楽」「運用成績」が良いなどメリットづくし
インデックス投資家育成塾シリーズ次回の記事からはいよいよインデックス運用の準備編に入っていきます。
準備編のあとは実践編に続きます。
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