インデックスファンドを売却する際、手数料がかかる場合があることをご存知でしょうか?
インデックスファンドを売却する際、ファンドによっては、信託財産留保額という手数料を取ることがあります。購入手数料、信託報酬と共に、投資家が考慮すべきコストの一つです。
本記事では、信託財産留保額とは何か?を解説するとともに、信託財産留保額が、実は、長期投資家にとって良いものであるということを説明します。
信託財産留保額とは?
信託財産留保額は、ファンド売却時に発生する手数料(解約手数料)です。例えば、eMAXIS新興国株式インデックスは、信託財産留保額として、ファンド売却時に基準価格の0.3%を徴収します。
投資家にとって、ファンド売却時にかかる信託財産留保額はコストです。しかし、信託財産留保額は、長期投資家思いのコストでもあります。以下、このことに関して説明します。
信託財産留保額の仕組み・事情
以下、ある投資家がファンドを解約する場合を考えます。
- ある投資家がファンドを解約する。
投資家は、ファンドの解約分の現金を受け取る。 - 投資信託会社は、その投資家へ現金を支払う。
保有している株式等を売却し、現金化する必要がある。 - 投資信託会社は売却やリバランスのための手数料が発生。
信託財産留保額がないと、ファンド保有中の投資家が、そのツケ(手数料が信託報酬に上乗せ、もしくはファンドの基準価値が下がる)を払わされる。ファンド売却者は、何も代償がない。
以上のように、信託財産留保額は、ファンド保有者の(ファンド売却にかかるコストによる)負担を軽減させるための仕組みです。極端な話、信託財産留保額がないと、短期売買を繰り返す投資家のために発生するコストを、長期投資家(長期ファンド保有者)が支払う構造になってしまいます。そのため、信託財産留保額は、長期でファンドを保有する投資家思いのコストであるとも言えます。
信託財産留保額の影響は?
長期インデックス投資家にとって、信託財産留保額の考え得る影響としては、
- 信託報酬などの実質負担金の低下により、トータルのファンドパフォーマンスの向上
- ファンド内のキャッシュ保有率の低下
などが考えられます。信託財産留保額があれば、ファンド保有者の実質コスト負担分が軽減されます。そのため、コストによるファンドのパフォーマンス低下を最小限に抑えられます。
参考 信託報酬(コスト)とファンドパフォーマンスの関係は、以下をご参照ください。
http://investment-by-index-invest.com/trust-fee/
2点目として、信託財産留保額により、ファンドのキャッシュ保有率の低下の可能性があります。投資家のファンド売却時に支払う現金を、ファンドは現金(キャッシュ)として、ファンドの一部組み込んでいます。信託財産留保額により、原理的に、売却時の支払い金が軽減されます。そのため、ファンドに組み込む現金の割合を下げることも可能となります。(現金がファンド内に組み込まれていると、ファンド自身のパフォーマンスを良くも悪くもなまらせます。)
例えば、同新興国株式インデックスファンドで、信託財産留保額を設定しているeMAXIS新興国株式インデックスは、0.1%以下です。しかし、信託財産留保額を設定していないEXE-i新興国株式ファンドは、約1%程現金を保有しています。ベンチマークの違いやファンド方針の違いから一概に言えませんが、信託財産留保額を単純にコスト(悪)と考えずに、ファンドへの影響も考えることが重要です。
本記事のまとめ
- 信託財産留保額は、ファンド売約時にかかる手数料(解約金)
- 単純なコストではなく、ファンド保有者の負担軽減を目的とした、コストである。
- ファンド内のキャッシュ保有率の軽減にも一役かっている。
参考 現在行われている、お得な口座開設キャンペーンは、以下をご参照ください。
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